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表面・界面構造と表面ダイナミクスの研究
 
 
    
 メンバー

 実験装置

 研究風景

 大学院

 研究内容
Institute for Solid State Physics,
University of Tokyo
 表面・界面構造をX線回折を用いて調べる手法としては、主に以下の2つの方法があります。一つは試料表面にすれすれにX線を入射し、試料表面すれすれに出射してくる回折X線を測定する、Glazing Incidence X-ray Diffraction (GIXD)です。これによって得られた回折強度分布をフーリエ変換することで、表面面内方向の原子位置を得ることができます。測定条件からも分かるように、表面近傍の情報を主にさらっているため、一原子層の構造も精度よく調べることができます。
 もう一つの方法は、Crystal Truncation Rod散乱法です。CTR散乱とは表面が存在することによって、逆格子ロッド上のBraggピークの間に生じる有限の散乱のことです。逆格子空間を試料表面垂直方向にスキャンすることによって、このCTR散乱を測定します。CTR散乱は表面・界面構造に非常に敏感に変化するため、これら超構造を精度よく決定することができます。(研究例はこちら)
 両手法ともX線が試料中で1回しか散乱しないと仮定した運動学的回折理論を用いて解析できるため、他に類を見ない高精度で表面・界面構造を決定することができます。我々の研究室ではこれらの手法を用いて、様々な表面・界面超構造の決定や、表面構造の相転移現象を明らかにしてきました。
 最近では以下のような系を研究対象としてしています。

表面上に形成する金属一次元鎖構造
 表面上に金属原子を蒸着させると、二次元周期構造だけではなく、一次元的な構造や電子状態を有する金属一次元鎖が形成することがあります。一次元金属は朝永-ラッティンジャー流体などのエキゾチックな物性を示すことが予測されており、大変興味深い研究対象です。我々のグループでは主にSi表面上に金属一次元鎖構造を作製し、金属鎖の構造決定や低温での不安定性の検証を行っています。

エピタキシャル鉄シリサイドの界面構造
 Si表面上に鉄原子を蒸着させると、β-FeSi2エピタキシャル薄膜が形成します。このβ-FeSi2は可視域の直接型バンドギャップを持つことや、Si基板との格子不整合が小さいこと、磁性を持つことも明らかになっており、オールシリコン光・電子・磁気集積デバイスへの実用が期待されています。こうした期待から、β-FeSi2の結晶構造、特にSiとの界面構造を明らかにしようという試みが成されてきましたが、未だ明らかになっていません。今までに培ったX線回折のノウハウを生かしてこの問題の解決に取り組んでいます。

SiC上の秩序SiON超薄膜
 SiCはSiに替わる次世代半導体パワーデバイスの基本物質として期待されている材料です。しかしSiO2/Siのような良質な誘電膜/SiC界面が得られず、実用化の妨げとなっていました。これに対し我々は、九州大学の栃原・水野研究室,田中研究室との共同研究により、原子レベルで一様かつ急峻な界面をもつ秩序SiON超薄膜を作製し、その構造を明らかにすることに成功しました[click]。このSiON超薄膜は結晶化しており、さらに構造中に未結合手を持たないため、わずか0.6 nmの膜厚にもかかわらず大気中でも安定です。このような従来では考えられない特性をもつこのSiON超薄膜はSiC-MOSデバイスへの適用はもちろん、様々なナノスケールデバイスへの応用も期待されます。構造だけでなく、光電子分光や軟X線の発光分光を用いて原子レベルでの電子状態の解明にも取り組んでいます。

電子線・光励起による半導体表面構造の変化
 Si表面構造が低温になると電子線や光照射によって変化することを見出しています[click]。この低温でのみ生じる外部刺激による構造操作は、他の半導体表面構造においても生じる可能性があり、その検証と統一的なメカニズムの解明を試みています。短パルスレーザーと組み合わせた時間分解測定によるアプローチも計画しています。CTR.htmlSXD.htmlhttp://leed4.mm.kyushu-u.ac.jp/http://www.qpn.kyushu-u.ac.jp/Tanaka/Welcome.htmlsurface_interface_files/SiON.pdfsurface_interface_files/EBeffect.pdfshapeimage_11_link_0shapeimage_11_link_1shapeimage_11_link_2shapeimage_11_link_3shapeimage_11_link_4shapeimage_11_link_5
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