Darwin流の動力学的回折理論では、1枚の原子面にX線が入射したときの透過係数(t
0
)、反射係数(r
H
)をもとにして、結晶による回折を考えます。我々は、一般的な実験配置で使える透過係数(t
0
)、反射係数(r
H
)を求めました(1a)。
特別な場合として、図に示すように入射線の視射角が全反射の臨界角程度に小さい場合には、特別な扱いが必要であることが分かりました。
いままでの式では、視射角が零度に近づくと発散してしまうと言う難点がありました。このような小さな入射角度では、1枚の原子面の中での多重散乱を考える必要があることに気づき、この効果を取り入れることにより反射係数、透過係数の具体的な表式を求めることができました(1b)。これまで知られていた式(1a)は、今回得られた結果(1b)を展開したときに得られる近似式であることもわかりました。
今までの式
(1a)
今回得られた式(θ0,θH<<1の場合)
(1b)
ここで
(2)
(3)