Darwin流の動力学的回折理論では、1枚の原子面(図b)にX線が入射したときの透過係数(t
0
)と反射係数(r
H
) をもとにして、結晶(図a)による回折を考えます。これまでは、入射X線と回折X線が結晶表面に垂直な面内に含まれるような配置については反射係数、透過係数は分かっていました。ところが、図に示すような一般的な配置(skew)の場合には、反射係数、透過係数はどのように表させるのか分かっていませんでした。
我々は、このような場合の透過係数(t
0
)、反射係数(r
H
)を具体的に求めることができました。
(1)
ここで
(2)
(3)
このことにより、表面回折法で測定された回折斑点強度を正しく見積もることができるようになりました。
さらに、絶対反射率で回折強度を評価できるようにもなります。
Acta. Cryst. A56 (2000) 163.
(入射線の視射角θ
o
が全反射の臨界角程度に小さいときには、特別な扱いが必要です。)